原種の魅力はなんといっても素朴な雰囲気が一番ピッタリあいます。とはいえ花や葉、草姿がシンプルでありながらも微妙な変化を楽しめるということも大きな魅力です。
原種は交配種の親として多くの品種に受け継がれていますが、シンプルが故にできる技とでもいいますか、色んな原種を交配させ多彩なバリエーションがたくさん生まれています。
あこがれの原種16種
原種は花色が主張しすぎず、シンプルですっきりとした花形と草姿は原生地にて生き抜く強さを感じられます。
東欧州を中心として、広く欧州に分布(例外として中国原産のチベタヌス)して自生する植物といわれ、代表的な16種の原種をご紹介します。
アトロルーベンス
花色は濃い赤色からニュアンスのある紫色と幅広く小輪多花性の原種です。落葉性が高く、古葉は早い時期に枯れてしまい葉が出ていない状態で花を咲かせます。開花時期はやや早いのが特徴で、高温多湿に弱く葉焼けしやすいといわれています。
アーグチフォリウス
梅の花のような形のうすい緑色の小花を15~30輪つけ、常緑で白っぽい葉の縁が切れこみの深いのが特徴です。
耐暑性があるので花壇や庭植えが向いていて、他の原種のクリスマスローズより日当りの良いところで育てても大丈夫です。コルシカ島の原産でコルシカスとも云われ、花がたくさんつき長く楽しめるのも魅力です。
ヴィリディス
濃いグリーンの花を咲かせ、花形は丸弁と剣弁の両タイプがあります。葉が蜜につき、こんもりとした草姿でコンパクト。
成長速度は遅いですが丈夫で育てやすく原種らしい素朴さがあります。
ヴェシカリウス
濃い緑に赤い模様が入る愛らしい花で成長が遅く発芽から開花まで時間がかかります。
砂漠に自生していることから乾燥に耐えられるように根が肥大してるのが特徴で、夏の間は落葉して休眠し、秋に葉をだして春先に花を咲かせる可愛い花です。
オドルス
原種の中では強くて育てやすいとされています。花形や大きさ、花色には地域で異なりますが濃い緑色や黄色い緑色をし、一部の花には良い香りがするものもあります。草丈は40cm前後、株は中~大株になり半落葉性です。
オリエンタリス・グッタータス
オリエンタリスは交配種のベースとなった原種。非常に剛健で成長が早く育てやすい種類です。
グッタータスは花の中に小さな赤紫のスポットが入るのが特徴なので、スポットやブロッチが入ってる交配種の親はグッタータスの遺伝子が入ってるといえます。冬でも枯れず葉厚くてみずみずしい葉は、冬の庭を飾ってくれること間違いありません。
クロアチクス
限られた地域に分布してるため、葉や花色、花形、草姿の変異は少ないとされています。アトロルーベンスと似ていますが花首と苞葉の裏側部分に絨毛が映えてる点が違います。葉は小さく丸みを帯びています。
チベタヌス
唯一、東アジアに原生する品種。最初はつぼみが地際に現れ、開花後に花柄が立ち上がり花より葉が遅く出てくるのが特徴です。咲き進むほどに見せる変化も楽しみのひとつといえます。
デュメトラム
藪が多い場所に自生し、株もやぶのように密集します。葉は5つに細く分かれるので細長い葉がたくさん出てるよう。華奢な草姿に小輪の可憐な花を多数咲かせます。
トルカータス
花色、花形のバリエーションが豊富で、株によってシングルやダブルの咲き方や花色が楽しめます。葉も紫がかり、全体的にシックな印象です。成長が遅く株も大きくなりにくいのでコンテナ栽培向き。
ニゲル
根が黒いことから黒色を表すニゲルの名で呼ばれています。有茎種・無茎種どっちの性質ももち、交配種の親となることが多い品種です。
美しい純白の花を1茎に数輪咲かせ、12月から咲くとはいうものの日本ではオリエンタリス同様2月からきれいな花が咲き始めます。咲き進むにつれ赤みを帯び、寒さには最も強いグループに入りますが、夏の暑さには弱い品種です。
フェチダス
イギリスからスペイン、フランス、イタリアなど欧州西南部に自生します。しっかりした株の先にベル状の明るいグリーンの花をたくさんつけ、冬の切花として独特のグリーン花で人気があります。
プルプラセンス
早い段階で地際で咲き始め、咲き進むにつれて徐々に伸びます。花色は紫色が基調ですが、グレーやピンク色が混ざるシックな色みでとても美しいです。葉にも紫色が入り、葉の形状はバラエティー豊か。
花弁の表が緑色、裏側が紫色のリバーシブルタイプと表側、裏側とも青みがかった紫色の二種類に分かれます。
ボッコネイ
花弁や葉が薄く、葉柄が細い華奢な草姿でコンパクトにまとまり上品な印象をもっています。花は中~大輪で花弁の縁が白く色が抜けるものが多いです。開花時期が早く柑橘系のさわやかな香りをもつものも。
リヴィダス
スペインのマジョルカ島原産のあずき色梅花咲きで葉も美しく可憐です。花色はあずき色~緑色まで幅があり、咲き進んでも色あせしなく赤みが強くなります。成長が早く大株になると、こんもり茂り立派な株立ちになります。
リグリクス
北イタリアのリグーリアに自生します。平咲きの花は他の原種と比べ大きく、強い香りがあります。開花時はもちろん、冬でも葉は枯れずに残るのでバランスのイイ花姿が楽しめます。丈夫で育てやすく初心者向き。
まとめ
う~ん、やっぱり原種って素朴でステキ♡その素朴さとシンプルさに惹かれる人は多いようですね。なんといっても交配種の親になるわけですから、大したものです。自然に溶け込むように咲く原種は春を告げる花のクロッカスやスノードロップなどと同じ仲間といえるでしょう。
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